釘宮貞夫さん・おもちゃ作りで私の人生が変わった

(「ネットワークNHK」11月号から)

 局の仲間から「釘さん」の愛称で親しまれた釘宮貞夫さんは、昭和38年の入局以来、平成8年の定年退職まで、大阪局で電力環境業務一筋に従事しました。一度も職場を変わったことがないのが、ひそかに悩みの種だったようですが、職場の柱として活躍し、退職後の平成13年には、長年にわたる協会業務での功績が認められ、勲六等瑞宝章を受けました。
 退職後、釘さんは趣味でやってきた油絵に専念しようと思っていました。趣味といっても本人の謙遜で、実際はアトリエを構え、現代の新しい具象絵画研究を目指す美術団体「白亜美術協会」が主催する「白亜展」に出展したこともあります。その油絵への思いが強くなっていたやさき、目に入ったのが「NPO法人 大阪府高齢者大学校」の「伝承玩具・工芸科」の募集でした。手作り工作の楽しさを地域や次世代に伝えようという講座です。早速入学、受講者をまとめる委員長なども務め1年で卒業、その後も月に一度、おもちゃ作りの仲間同士の勉強会や、ボランティアで子ども向けのおもちゃ教室を開催するなど精力的に活躍してきました。身の回りにある牛乳パック、ストロー、割り箸、ペットボトルなどを使った手作りおもちゃの魅力に取りつかれ、目をキラキラ輝かせている子どもたちを見ていると、「力の続く限り取り組もう」と思ったそうです。そうした中、地元の奈良で「奈良町からくりおもちゃ館」を開くので手伝ってほしいという声がかかり、準備段階からスタッフとして携わり、無事今年の4月にオープンしました。この施設は奈良市の陰陽町という古い町にあります。明治期に、屋号「まつり」という「うなぎ料理屋」の店主が、現役引退後、専用の住まいとして離れに建てた隠居場を改築したものです。前奈良大学長で日本近世史が専門の鎌田道隆先生などの指導で復元した江戸時代以降のからくりおもちゃ約二百点、郷土玩具約六百二十点などを順次入れ替え展示しています。来館者は、からくりおもちゃに触れて遊んだり、おもちゃ作りを体験出来るようになっており、釘さんは、からくりの仕組みや遊び方などを指導しています。「近くに来られた時はぜひ立ち寄ってタイムスリップを楽しんで下さい」とのことです。
 釘さんは、こうした地域活動を推進するボランティアとしての活動実績が認められ、昨年、大阪府知事より「シルバーアドバイザー」の認定を受けました。更に弾みがついて、今や自宅がある地域の自治会長まで引き受け、「地域のためならエーンヤコラショー」と意気込んでおられる今日このごろです。

昭和11(1936)年生まれ。昭和38年入局以降、大阪局で電力環境業務に従事し、平成8年退職。その後、平成13年まで契約職員として勤務。現在は、「奈良町からくりおもちゃ館」スタッフ職員として活躍。奈良県大和郡山市在住。

(文・近畿旧友会 川勝 重基)