石本彰さん・大正生まれのボランティア講釈師

(「ネットワークNHK」12月号から)

石本彰さんは、昭和 58 年に定年退職後、岡山 大学の非常勤講師として 「視聴覚教育」に携わると ともに、趣味の講釈を 通じて、岡山県内各地の 図書館・公民館・老人 クラブなどで「歴史講座」 のボランティア活動を 始め、今年で 30 年目の節 目を迎えます。  「私は講釈師です」と語る石本さん。講釈 独特のしゃべり調子と小道具を使い、「軍記 物」や「武芸物」「英雄伝」など、「古典」をネタ にした「歴史講座」は引っ張りだこで、平成 16 年(当時 78 歳)には、年間百五十二回を 数えるなど、 30 年間の積み重ねは実に二千 回を超えています。  石本さんの講座のテーマは、そのほとんど が「NHK大河ドラマ」関連です。「義経記 ( 義経)」「甫庵太閤記(秀吉)」「信長公記 (信長)」「太平記(尊氏)」「徳川歴代将軍記 (篤姫)」などを丁寧に調べ上げ、時には、浄瑠璃 や琵琶語りの節回しも 取り入れながら、毎回 50 人ほどを前に2時間 の講座でうなります。 その内容は古典ばかり でなく、突然「iPS 細胞とは…」「放射性物 質は…」「現在の世界人 口は…」など、社会問 題も飛び出し、2時間 があっという間に過ぎ ます。モットーは“楽 しさ優先”で、自分より 歴史に詳しい受講生には5分間、時間を譲っ たり、度忘れでコメントが出てこない時は、 会場に助けを求めるなど、ユニークさも好評 で、多い時には二百人近くの受講者が集まる 人気ぶりです。  講座の充実には、映像資料は欠かせません。 石本さんの資料づくりのポリシーは「必ず現 地へ行き、事実を確かめること」だそうで、 これまでにも、関ケ原、川中島、奥州平泉、 高松城水攻めの跡などなど、全国各地を訪ね、 自ら映像を撮影して 来られたそうです。さ らに、趣味で続けてい るピアノを生かそうと シンセサイザーを購入 し、取材ビデオに自作 自演のBGMを入れた り、技術者顔負けの 編集で、多くの映像 資料を制作して来ら れました。  今年 86 歳を迎えた石本さん。今の悩みは、 昨年の「江」や今年の「平清盛」の歴史的資料が 少ないことだそうです。いつも愛用のスクー ターで会場へ駆けつける姿は、年齢を感じさ せませんが、「代役がいないので、休講になら ないよう、けがをせず健康管理が一番です」 と話され、好きなお酒もタバコもやめ、日々、 意欲的に古典の研究を続けておられます。
(文・中国旧友会 田中 一正)

大正15(1926)年生まれ。昭和20年、海軍航空隊除隊、 昭和21年ディレクターとして松江局入局。以降、広島、 尾道、福山、岡山で勤務。岡山局では、編成担当として学 校放送普及業務に従事。昭和58年定年退職後、岡山大学 教育学部非常勤講師のほか、岡山県内の図書館・公民館な どで「歴史講座」の講師としてボランティア活動を継続中。

石本彰さん・大正生まれのボランティア講釈師 への1件のフィードバック

  1. 三澤 洸 のコメント:

    当方の母方の叔母がJOAK唱歌隊に昭和3年から12年頃迄所属して、愛宕山放送所で「子供の時間」などに「出演して歌っていました。JOAk唱歌隊に関する資料が皆無です。「子供の時間」の内容を毎月紹介していた「ラヂオ子供のテキスト」を収集しています。放送博物館にある94冊は保存状態が悪いために、閲覧不能です。当方が収集した25冊と東京都多摩図書館にある36冊は閲覧可能です。全部で170号余り発行されました。旧友会員で「JOAK唱歌隊」や「ラヂオ子供のテキスト」についてご存じの方からの情報をお待ちしています。

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