竹川 邦男さん・「こんぴら石段マラソンに挑んで40年」

(「ネットワークNHK」 3月号から)

1  長い石段のあるお宮さんで知られる「四国・讃岐の金比羅さん」。この石段を本宮まで上って下りる「こんぴら石段マラソン」が毎年10月に開かれている。昭和41年から開催されているこのマラソンは昨年で47回を数え、金比羅さんの名物行事となっている。
 この石段マラソンに挑戦を続けているのが、今年85歳になる竹川邦男さん。金比羅さんのある琴平町で生まれ育った竹川さんは、戦後間もなくの昭和21年に高松局に入局。三十代の半ば頃から、仕事が忙しくなると肩こりや不眠などに悩まされるようになり、健康のために日常的に近くの道路を走るようになったことをきっかけに、ジョギングの道に入った。
昭和40年代頃は、今のように中高年者でジョギングをするような人はまれであった。「ただ
ひたすら走るだけ」という単調な運動だけに度々挫折しそうになったこともあったが、し
ばらく続けていると次第に体調がよくなり、冬も風邪をひかなくなるなど、さまざまな効
果のあることが分かってきたという。2
 竹川さんが「こんぴら石段マラソン」に初めて参加したのは昭和47年の第7回の大会で、地元でこうした大会が開かれていることを知り、力試しに参加したが、出場選手のほとんどは20歳前後の若者で、当時44歳の竹川さんが最年長ということで敢闘賞を受けた。
 この「こんぴら石段マラソン」は、JRの琴平駅前がスタートとゴール地点になっており、山の中腹にある金比羅さんの本宮前を折り返すおよそ4キロのコースである。途中に785 段の石段を上って下りるコース設定は、開催時期が秋の観光シーズンのさなか行楽客で混雑する石段を一気に駆け上がって降りるという、結構きつい道程である。このマラソンには、メキシコ五輪のマラソンの銀メダリスト・君原健二さんが特別参加したことがあり、君原さんは「下りの石段への切り替えには戸惑った」と話していたという。
3 初参加で敢闘賞を受けたことで自信をつけた竹川さんは、その後40回に及ぶ大会に
ほぼ
毎年参加し、これまでに38回完走している。
 高松局でおよそ40年間、営業・経理事務などを担当して昭和61年に退職した竹川さん
は、ジョギングの傍ら地域の人たちのお世話をする活動にも取り組み、長年にわたって民
生児童委員や地域安全推進委員を務め、平成16年の放送記念日にはNHK会長から感謝状が贈られた。
 石段マラソンに挑戦を続ける竹川さんは、退職後にはサイパンの20キロマラソンや富士
登山競走など各地の大会にも参加したが、「半世紀近い私のジョギング人生の原点は
やはり石段マラソン、体力の続く限り走り続けたい」と年齢を感じさせない元気さで、
今日もこんぴらの街を駆けている。
(文・四国旧友会 高木 明)

昭和3(1928)年生まれ。昭和21年入局。以降 昭和61年の退職まで高松局で総務・営業の業務に従事。

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