渡辺 晋太郎さん「外国人の子供の日本語教育への情熱」

(「ネットワークNHK」11月号)

1 年々増え続ける外国人居住者や海外からの日本人帰国子女のための日本語教育は、残念ながら十分に組織化されているとはいえません。とりわけ、日本の学校で学ぶことをめざす学齢期の子どもへの日本語教育には、確立したメソッドがないといってもいい現状です。この子どもへの日本語教育に打ち込んでいるのが渡辺晋太郎さんです。
 人事本部などで活躍した後、中央研修所を経て、NHK放送研修センターに出向した渡辺さんにとって、そこで携わるようになった「外国人に日本語を教える教師養成事業」が、退職後の生きがいを見いだすきっかけとなったようです。平成17年、渡辺さんは「国際日本語コミュニケーション研究所」を立ち上げ、瑠美夫人や仲間とともに都内在住の外国人児童生徒や帰国子女の日本語教育、教科学習支援などに情熱を傾けています。2
 ついでがあれば、水曜日か金曜日の夕方、JR渋谷駅東口に近い「渋谷区立商工会館」の2階をのぞいてみてください。にぎやかな声が聞こえてくるはずです。第1研修室のドアを
開けると、小1から小6までの子どもたちが5つ?6つのグループに分かれて勉強しています。第2研修室では、中学生たちが日本語で英数国の教科や作文の勉強をしている姿が飛び込んでくるでしょう。
 この教室に通っている子どもたちは、平成25年9月末現在で9か国25人、内訳は小学生18人、中学生7人です。子どもたちの7割は、公立小中学校の生徒で、残りはインタ3ーナショナル校の生徒たちです。他方指導員ですが、小学校の退職教員や日本語学校の退職者など、およそ10人が協力しています。
 渡辺さんは、この教室の校長先生です。コースデザインや指導員の確保・研修、子どもたちの学習指導などのほか、予算管理など事務的な仕事もあります。夫人と二人三脚で一緒にやってきたからこそ、仕事がうまくこなせているのでしょう。なお、この教室は平成20年に始まったのですが、これまでに延べ92人の子どもたちが学び、うち10人が高校に進学していきました。
 4今、日本語の指導を必要としている子どもの数は、全国で33184人(外国籍27013、日本国籍6171…文部科学省平成24年度調査)だそうです。外国人の滞在期間の長期化や国際結婚の増加、また政府が進めている海外諸国との経済連携協定や東京オリンピック関連事業の活発化などにより、日本への人の移動はさらに加速するだろうと予想されます。当然、子どもの数も増えていくでしょう。渡辺さんのような人たちが地道に進めている活動やノウハウの蓄積が、これからの日本にとっていっそう大事になっていくのは疑いありません。
 渡辺さんには今後とも元気に活躍していただきたいと願っています。
(文・東京旧友会 黒川 次郎)

昭和13(1938)年山口県下関市生まれ。昭和37年入局。放送業務局事業部、経営情報室、人事本部調査部、国際局庶務部、中央研修所を経て、昭和60年NHK放送研修センターに出向。一般企業・市民にNHKの培ったノウハウを還元する業務に従事。平成6年NHK退職。平成16年NHK放送研修センター退職。現在、NPO法人国際日本語コミュニケーション研究所副理事長。

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