菅井 哲夫さん「絵画で紡ぐネットワーク」

(「ネットワークNHK」 7月号から)

F7JR東京駅地下・丸の内北口改札脇に「輝く」という名の巨大な「石絵」が展示されている。石絵とは、硯などの材料として知られている宮城県石巻市雄勝地区で産出される雄勝石のスレートに絵を描いたものである。
 2011年3月11日、東日本大震災による津波で雄勝地区は壊滅的な被害を受け、大量の雄勝石も流失した。折しも、雄勝産スレートを使った東京駅の屋根の復原工事が進行中だったことから、菅井さんらがJRに働きかけ、石絵を東京駅に半永久的に展示してもらうことが実現した。
 菅井さんと雄勝石との関わりは、仙台市在住の石絵作家・齋藤玄昌實さんとの出会いから始まる。齋藤さんは長く雄勝石を活用し多くの石絵を描き続けている作家である。
 2009年の夏、菅井さんは衰退していた硯産業の振興と子供の情操教育の一環として、小学生を対象とした「石絵教室」を齋藤さんと立ち上げ活動を始めた。そして2 0 1 2 年、東日本大震災による津波で壊滅した雄勝地区の復興と、子供たちに勇気と元気F7-2を取り戻してもらうことを目的に、震災後も地区に残った児童生徒108人に合わせ108枚の雄勝スレートに彩色して、巨大石絵の制作に取り組んだ。 子供たちが苦難にくじけず、未来に向かって輝き続けるようにとの思いから「輝く」と名付けられた作品には、雲海に浮かぶ富士山が描かれている。
絵を始めたきっかけは2007年の年頭、突然ガンの告知を受け、余命一年と宣告されたことだった。本人の弁によると「何か退屈せずに過ごす手はないか」という動機だったと言うが、それだけではなかっただろう。
 その後、NHK文化センター仙台教室の「パステル画」を受講、メキメキその才能を開花させていく。2012年、東北最大の公募展「河北美術展」にパステル画で初応募・初入選を果たすと、翌年、翌々年と連続入選の快挙。絵のモチーフは、東日本大震災からの復興を目指して、東北6県持ち回りで開催されている「東北六魂祭」。東北を見つめるまなざしは温かく優しい。
 生来のじっとしていられない性分もあってか、在仙マスコミのOBによる「同舟絵画展」、パステル画作家50 人による「パステル・コパン(友達)展」、NHKOBによる「東北放画会展」を次々立ち上げるとともに、50年も続く「蔵王写生会」の世話役を担うなど、多忙をきわめている。
  現在、今年の秋に開催する宮城県内の中学校美術部の生徒100人と画家60人による、雄勝石を使った作品展を準備中である。東北をこよなく愛するかけがえのない先輩である。
(文・東北旧友会 伊深 久男)

菅井 哲夫さん 昭和15年生。昭和39年入局。主に仙台、盛岡、東京などで報道部門を中心に活躍し、福島放送局長、総務局次長を務める。平成9年退職。

 

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