山地 俊英さん「西行の里で文化財保護」

(「ネットワークNHK」3月号から)

sai1 四国讃岐(香川県)の善通寺といえば、真言宗の 開祖 弘法大師・空海の誕生の地として有名ですが、 その近郊には平安末期の歌人・西行法師が庵(いお り)を構えた「西行の里」があります。この地の出身 である山地さんは、地域に伝わる文化財の保護に 取り組んでいます。
 山地さんのふるさとは総本山・善通寺から3キロ ほどの山沿いにある地区で、西行の草庵「西行庵」 をはじめ、空海が開いた四国霊場八十八か所のうち 二つの札所があることから、春秋の観光シーズン には札所巡りのお遍路さんなどで賑わいます。
西行は平安末期に、北面の武士として宮廷に仕え た後、若くして出家し、僧侶、歌人sai2として全国各地を 行脚、四国では弘法大志の遺徳を偲んで善通寺を 訪れ、この地に庵を結んで逗留したと伝えられてい ます。現在の「西行庵」は、平成元年に西行八百年忌を記念して地元の人たちが再建したもので、入口には 西行がこの地で詠んだといわれる「山里にうき世いと わむ友もがなくやしく過ぎし昔語らむ」(山家集) など二首の和歌を刻んだ歌碑も建てられています。

 子どものころから善通寺の五重の塔を見ながら 育った山地さんは、文化財に関心が高く、退職して ふるさとに帰るとまず「西行庵」での活動に参加しま した。毎年旧暦2月 16 日には、地元の人たちと協力して 法要を営むなど、現在では庵の世話役として中心的な 役割を果たしています。また、平成 24 年の大河ドラマ 「平清盛」で、武士の時代に清盛の親友として西行が 登場した際には、地域番組で西行がかつて仕えた崇徳院 が讃岐に配流された旧sai3跡や、西行のことなど、西行と 讃岐のかかわりを解説したこともありました。
 また山地さんは、自身も育った地元の小学校で、 地区の世話役として、子どもたちに「米作り」の体験 学習や、善通寺市の無形文化財に指定されている 「吉原念仏踊り」の継承活動などにあたっています。 中でも郷土芸能の「吉原念仏踊り」sai4は、雨が少なく 水不足に悩まされてきたこの地域に、古くから伝わる 〝雨乞い踊り〞です。その優 雅な様は、毎年秋に善通寺 で開かれる「空海まつり」 でも好評を博しています。
 山地さんは、「地域の身近 な文化財を守りながらこ れを次の世代に引き継いで いくことが今の私の生き がいであり、体力の続く限り 頑張っていきたい」と意欲 を燃やしています。
(文・四国旧友会  高木 明)

山地 俊英(やまじとしひで)さん 昭和16年生まれ、昭和35年入局。 高松局を振り出しに徳島、岡山、松山 の各局で技術畑一筋。 平成10年にNHKアイテックに転籍、 平成18年退職。

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