東野 良さん「山の魅力を撮り続けて50年」

 

(「ネットワークNHK」7月号から)

higa1    創立 70 周年の歴史を誇る仙台市民の山岳クラブ 「仙台山想会」の会長として、 11 年にわたり登山家 の安全指導に当たっているのが東野良さんです。
   NHK時代、山岳カメラマンとしてNHK特集 「秘境チベット」、NHKスペシャル「チョモランマ遥か」、 「星明かりの秘境カラコルム」など、数多くの番組を 担当しました。
    山岳カメラマンの草分け的存在だった東野さんです が、報道の現場では山の取材は遊びに行くようなもの だと言われ、あまり重要視されていなかったようです。
    転機となったのは1985年に起こった〝日航機墜 落事故〞です。事故発生時、東野さんも重い機材を 担いで事故現場・御巣鷹の尾根を目指して道なき 道を進み、事故翌日の夕方ようやく現場にたどり 着きました。記者もPDもまだ登って来ていない中、 東野さんがリポート、後輩のカメラマンが中継を 担当する形で悲惨な現場から生放送しました。
    この取材が教訓となって、山間部での取材に対応 しようと、全国から山に強いカメラマンを集めた”山岳班〞を報道局映像取材部に立ち上げることに なり、現在に至っています。
     2011年3月 11 日の東日本大震災当日、東野さん は高校時代の仲間達と宮城県石巻市higa2の牡鹿半島沖に 浮かぶ島・金華山にいました。標高444mの山頂で 昼食をとってから山を下り、港の待合室で帰りの定期 船を待っていた時、背後の山に唸るような音を聞きま した。山の石、木々や海底が不吉に共鳴し合う不可思議な地の声のようだったとのこと。島は激しい揺れ に続き、四度の大津波に襲われたため、東野さん達は 神社の参集所に避難して不安な一夜を過ごしました。
     翌日の午後、沖に避難していて奇跡的に無事だっ た定期船で島を離れ、徒歩とヒッチハイクを重ねて 仙台の自宅に戻ったのは4日後のことでした。この 金華山での津波を記録した東野さんの写真は、後日 地元紙に掲載されました。津波工学を専門とする 東北大学名誉教授・首藤伸夫さんも地元紙のコラム で「貴重な写真」として紹介しています。
 higa3   東野さんは、登山ブームもあってか最近入会希望 が多い仙台山想会の新入会員への安全指導のほか 宮城県山岳環境指導員として登山家のマナー指導や 清掃活動、道標の安全チェックなどのボランティア 活動にも参加しており、年間を通して 50 日前後山に 登っているということです。また、山岳写真家として も月に1〜2回撮影会を開いており、昨年は 10 人を リードして中国・四川省の山でトレッキングと高山 植物の撮影を楽しんで来たそうです。
   「酒屋のオクスリには世話になっていますが、医者 のお薬には厄介にならないでいます」と語る、生涯 現役山岳カメラマン・登山家の東野良さんです。
(文・東北旧友会 吉村 保)

 東野 良(ひがしのりょう)さん
昭和19年生まれ、昭和42年入局。3度の報道局勤務のほか、仙台2度、福島、静岡、札幌でも勤務

東野 良さん「山の魅力を撮り続けて50年」 への1件のフィードバック

  1. 中山 雅夫 のコメント:

    仙台で一緒に仕事をしたときのスナップ写真が、いまだにテーブルのわきの壁を占拠しています。飯豊からの中継は「大変な経験」になったけれど、今の衛星時代には、あの苦労はなんだったのだろうか、と思うことしきりであります。あなたの「山への思い入れ」に触れたことは、私の人生に大きな財産として今も生きているようです。年齢と仲良くしつつ、これからもご活躍を!

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