加藤 利宣さん「地域に根づく防災活動」


(「ネットワークNHK」3月号から)
 加藤利宣さんが高知技術部長だった平成10年9月、高知市は日雨量520ミリの豪雨に襲われ、東部の2万4千戸が水没する大災害に見舞われました。高知局会館も30センチ浸水。その水害体験によって、加藤さんの防災意識が熱を帯びることとなったのです。
 平成14年に57歳で定年退職。徳島に帰って早速、自主防災組織の設立を提案しました。しかし災害経験の少ない住民の反応は冷ややかなものだったといいます。
加藤さんが住む徳島市渭北地区は、住民1万5千人、65の町内会を擁する住宅街。東側は紀伊水道に面していて、南海トラフ巨大地震が発生すると最大4mの浸水が想定されています。熱血行動派の加藤さんが手をこまねいているはずはありません。愛媛県新居浜市で生まれ育った加藤さんが渭北に居を構えたのは32歳のとき。町民運動会や廃品回収、溝清掃などの町内会活動を通じて地道に築いてきた地域とのつながりは、防災活動の足掛かりに十分でした。そこに東日本大震災が後押しとなって、平成23年、まず町内会自主防災組織設立にこぎ着けました。
平成25年には、「防災についてもっと勉強しなければ」と徳島大学防災リーダー養成講座を受講して防災士の資格を取得、普通救命講習も修了しました。そして県地域防災推進員、県防災啓発サポーター、市防災指導員、快適避難所運営リーダーとして、まさに地域の防災活動の牽引役になっています。
毎朝、町内ラジオ体操会のあと、防災一口メモとして防災ラジオの電池取り替えを呼びかけるなど啓発活動を行っています。またマンション住民を巻き込むため子供会と連携した炊き出し訓練や、介護施設の防災訓練で指導助言をしたりと、東奔西走の日々を送っています。目下の課題は、収容人数不足の指定避難所の運営協議会立ち上げで、防災の取り組みに終わりはないといいます。
 NHK職員時代に深く刻み込まれた防災意識。退職後もしっかり地域に根を下ろし、地域で生かされています。   (文・徳島旧友会 猪尾 仁)

加藤利宣(かとうとしのぶ)さん。昭和20年(1945年)生まれ。昭和38年入局。徳島、高知、松山で技術業務に従事。平成14年退職。